アルゴンプラズマ凝固手術について
簡単な日帰り手術で花粉症が抑えられることをご存知ですか?
現代人と花粉症
気密性の高いサッシの普及により住宅の空気の流れが悪くなったり、食生活が変化したり、あるいは大気汚染、ストレスの多い社会、といったいくつかの原因が重なり、今では日本人の5人に1人が花粉症などのアレルギー性鼻炎に苦しんでいるといわれています。その割合は年々増えつづける一方です。春先にマスクをかけて歩く人ももう珍しくなくなりました。
花粉症の症状をやわらげるために、毎年このシーズンは様々な対策グッズがメディアをにぎわせます。
花粉を直接寄せ付けないようにするマスクやメガネ、体質改善のためのお茶やサプリメント、鼻炎薬はもちろん鼻洗浄剤や入浴剤など、ありとあらゆる商品が登場しますが、一向に花粉症患者が減る様子はありません。
アレルギー反応の仕組み
鼻の中には、湿度や温度を保ったり、外から進入するゴミやホコリからガードする役割をしている「甲介(こうかい)」と呼ばれる部分があります。この甲介のなかで、一番大きい部分である「下鼻甲介(かびこうかい)」という粘膜が、花粉などに激しく反応して、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状が起こります。くしゃみや鼻水は体が異物を外に出そうとして起こる現象、鼻づまりは鼻の粘膜が炎症を起こしはれている状態なのです。
最新の手術治療「アルゴンプラズマ凝固手術」
先に上げた花粉症対策グッズを使い続けることはたいへんな労力を費やします。病院では一般的に、抗アレルギー薬による治療が行われていますが、症状が重かったり、長引いたりする患者さんには、当院では「アルゴンプラズマ凝固手術」をおすすめしています。手術時間が短く、体に負担の少ない画期的な日帰り手術です。
手術方法
炎症をおこしやすい下鼻甲介の粘膜をアルゴンプラズマビームで焼き固めて収縮させると、過敏な粘膜が鈍くなり、アレルギー反応が起こりにくくなります(図1)。
アルゴンガスの中に特殊な高周波を流すと、アルゴンガスがイオン化されてアルゴンプラズマが発生します。このアルゴンプラズマから出る青白い光をプラズマビームと呼びます。このビームの中は特殊な高周波電流が流れています。これを粘膜に当てて細胞を焼くことにより、過剰反応をおさえ、症状をやわらげるのです。
レーザーの「点」の治療と違い、アルゴンプラズマビームは「面」で均一に処理していくのでより早く、効果的です。
これまでの治療の結果をみると、特に鼻づまりに一番効果を発揮していることが分かります(表1)。
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図1 治療の実際
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| 症 状 | 有効率
(1ヵ月後) | 有効率
(3ヵ月後) |
|---|---|---|
| 鼻閉 | 97.5% | 98.0% |
| 鼻漏 | 61.3% | 78.4% |
| くしゃみ | 59.3% | 60.0% |
早く・安く・痛みの少ない手術
手術をすすめられて二の足を踏む大きな理由は、症状が生死に関わらず、また手術費や痛みなどのリスクを負うほどではないと考えられているからではないでしょうか。
アルゴンプラズマ凝固手術は、手術時間が片側5分くらいの簡単なものです。終わってから5~15分ほど様子を見て、特に出血などなければ、すぐに帰ることができます。その日は入浴と飲酒を避けていただければ、普段の生活に問題はありません。
術後は炎症反応で一時的に鼻づまりや鼻水がひどくなるため、もう片方は反応が落ち着いたころを見計らって約2週間の間隔を空けて行います。
麻酔で無痛状態にして行いますので、手術中の痛みはほとんど感じません。電流を使用しているので歯に違和感を覚える方がまれにいらっしゃいますが、術後に違和感がいつまでも続くことはありません。
手術には健康保険が使えますので、3割負担の患者さんでは再診料・手術料金などを含めて約6200円です。初診料、検査料が別途かかりますが、定期的に薬を飲み続けたりすることに比べれてもさほど高額ではありません。
高周波電流を使用するため、心臓にペースメーカーを入れている方、また麻酔薬のアレルギーがある人は受けられませんが、10歳以上であればどなたでも手術が受けられます。
花粉症の方は、前年秋頃手術をされるのが良いと思います。
手術の効果
効果は永久に持続するものではなく、個人差もありますが、人間の治癒力によって粘膜が再生するまでの2年くらいは効果が見られます。効果が弱くなったと感じたら、再手術を受けると良いでしょう。この手術は必要以上の処置を行わないので体に負担が少なく、安全性も高いので、再手術を受けても問題はありません。
特に鼻づまりでお困りの方、副作用に悩まされている方に、アルゴンプラズマ凝固手術をぜひおすすめします。長い苦しみから解放され、すっきりと春を迎えてみませんか。

