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鼻の手術

アレルギー性鼻炎の手術(アルゴンプラズマ凝固手術)

花粉症や通年性アレルギー性鼻炎で、症状が中等度以上の方に行います。アレルギー反応の主な場所である両側の下鼻甲介粘膜を凝固します(図1)。色々な手術方法がありますが、アルゴンプラズマ凝固法が長期的な効果が期待できるため、当院ではこの方法を行っています。

花粉症の方は、前年秋頃手術をされるのが良いと思います。

図1 下鼻甲介粘膜の凝固範囲
(図1)下鼻甲介粘膜の凝固範囲
 (赤色部分)

(1)使用する器械

アルゴンプラズマ凝固装置(Argon Plasma Coagulator : APC)は、アルゴンガスと高周波装置を結合させた新しい手術器械です(写真2)。プローブ(写真3)先端からイオン化されたアルゴンガスを噴射し、高周波電流を流します。このArgon Plasma Beamで下鼻甲介を均一に凝固しますので、炭酸ガスレーザー法などその他の方法に比べて効果的です。術後3ヶ月で鼻閉には98%、鼻水には78.4%、くしゃみには60%の改善率があり、長期間持続すると言われています。

(2)手術前処置

麻酔:手術を行う鼻内に浸潤麻酔および局所麻酔液の注射を行います。
必要に応じて局所麻酔液の注射も行います。

モニター機器装着:心電図、血圧計などのモニター機器を体に付けます。

スポンジ挿入:鼻の奥にのどへのタレ込み防止用のスポンジを入れます。このため、手術を行う方の鼻では呼吸が出来なくなります。

(3)手術

寝た状態で、まず片方の手術を行い、週間後に反対側を行います。

内視鏡を用いて下鼻甲介を深部までAPCを用いて凝固、固定します。手術は約5~10分で終わります(写真4)。

術後約1週間は下鼻甲介粘膜に滲出物(かさぶた)が付くため鼻が詰まりますが(写真5、6、7)、約2週間後には粘膜の腫れもなくなり、アレルギーの症状は 改善します(写真8)。この手術は、アレルギー体質の根本的治療法ではないため、将来アレルギー粘膜が再生し、追加凝固を行うこともあります。

図2 アルゴンプラズマ凝固装置図3 (APC)プローブ図4 Argon Plasma Beamで下鼻甲介を凝固
(写真2)アルゴンプラズマ凝固装置(写真3)(APC)プローブ(写真4)Argon Plasma Beamで
下鼻甲介を凝固

図5 術前図6 術後2日
(写真5)術前
(写真6)術後2日
図7 滲出物(かさぶた)図8 術後2週間
(写真7)滲出物(かさぶた)(写真8)術後2週間

鼻閉(鼻詰まり)の改善手術

この手術は、アレルギー性鼻炎、いびき症や睡眠時無呼吸症候群などの鼻詰まり、軽症の鼻詰まりに対して行います。内視鏡を用いて下鼻甲介の粘膜下組織を減量し、鼻 閉を改善させる手術です。当院では、(1)下鼻甲介切除術(高周波治療器使用)と、(2)粘膜下下鼻甲介骨切除術を行っています。これらの手術は、日帰りで安全に行 え、鼻閉に対して長期的効果が得られます。

下鼻甲介切除術(高周波治療機器使用)

アレルギー性鼻炎、いびき症などの軽症の鼻詰まりに対して、高周波治療機器を用いた下鼻甲介切除術を行っています。

(1)使用する機器

高周波治療機器(写真1):高周波電極針を下鼻甲介に刺入し、組織を凝固、瘢痕化させて、減量を図ります。

(写真1・2)高周波治療器と電極針
(2)手術前処置

麻酔:手術を行う鼻内に浸潤麻酔および局所麻酔液の注射を行います。

点滴:左手に鎮痛剤などが入っている点滴をします。

モニター機器装着:心電図、血圧計などのモニター機器を体に付けます。

スポンジ挿入:鼻の奥に喉へのタレ込み防止用スポンジを入れます。このため、手術を行う方の鼻では呼吸が出来なくなります。

(3)手術

寝た状態で、一回の手術で両側とも行います。

内視鏡を用いて高周波電極針を下鼻甲介に刺入し、下鼻甲介の深部まで減量を図ります(図2)。手術時間は約15~20分です。

手術後約1~2週間は下鼻甲介が腫れるため、鼻が詰まりますが、それ以降は改善します(写真3)。

図2 手術の実際
手術の実際(図2)
右鼻腔左鼻腔
左鼻腔
右鼻腔
術後2週間術後2ヶ月
(術後2週間)
(術後2ヶ月)
(写真3)鼻腔の所見

粘膜下鼻甲介骨切除術

いびき症や睡眠時無呼吸症候群など重症の鼻詰まりには、下鼻甲介切除術を用いる方法では改善できません。この様な場合、当院では下鼻甲介内の骨を除去して減量を図る粘膜下下鼻甲介骨切除術を行なっています。

(1)手術前処置

麻酔:手術を行う鼻内に浸潤麻酔および局所麻酔液の注射を行います。

点滴:左手に鎮静剤などが入っている点滴をします。

モニター機器装着:心電図、血圧計などのモニター機器を体に付けます。

ガーゼ挿入:鼻の奥にのどへのタレ込み防止用のタンポン・ガーゼかスポンジを入れます。

(2)手術

寝た状態で、まず片方の手術を行い、2週間後に反対側を行います。

下鼻甲介前方に切開を入れ、その深部まで剥離を行い、軟骨を除去します(図4・写真5)。手術時間は約20~30分です。

図4 手術のシェーマ
(図4)手術のシェーマ
右鼻腔(術前)
右鼻腔(術前)
図5 手術の実際
(写真5)手術の実際

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の手術

慢性副鼻腔炎の手術には鼻茸切除術、鼻内内視鏡手術(根本手術)などがあります。当院では、鼻内内視鏡手術は、まず片方の手術を行い、2週間後に反対側を行っています。

(1)使用する機器

パワー・システム(写真1):その先端に回転するシェーバー・メスやドリルを取り付けることができる手術器具です。メスとドリルは各種あり(写真2)、切除、削開した組織を吸引除去する器械です。
このシステムにより手術時間や出血量が従来に比べて大幅に減少しました。

内視鏡:各種内視鏡を用いて、副鼻腔内をモニター画面に映し出しながら、手術を行います(写真3)。

(2)手術前処置

前投薬:手術30分前に自律神経安定剤(内服)、鎮痛剤(座薬)を投与します。

麻酔:まず、手術を行う鼻内に浸潤麻酔および局所麻酔液の注射を行います。

点滴:左手に鎮静剤などが入っている点滴をします。

モニター機器装着:心電図、血圧計などのモニター機器を体に付けます。

スポンジ挿入:鼻の奥にのどへのタレ込み防止用スポンジを入れます。このため、手術を行う方の鼻では呼吸が出来なくなります。

(3)手術

寝た状態で手術を行います。この手術の主な目的は、副鼻腔の病巣をできる限り除去、開放し、その通気性を良くすることにあります。
1.鼻茸切除、2.篩骨洞開放術、3.上顎洞開放術、4.前頭洞開放術、そして必要に応じて5.鼻閉(鼻詰まり)の改善手術などを行います。
鼻茸切除だけであれば数分で完全除去ができます。1〜3の操作で約45分、4の操作まで行うと約1時間かかります。

(4)手術後の管理

手術後は、抗生物質(マクロライド系)を1〜3ヶ月間服用し、毎日鼻洗浄器(術後に購入)で鼻洗浄を行ってもらいます。副鼻腔術創の感染を予防できれば、 術後約3ヶ月でほぼ治癒します(写真4・5)。しかし、術後6ヶ月間は外来で経過観察する必要があります。特に、アレルギー疾患がある人は、治癒が遅れた り、再発したりすることがあるため、厳重な経過観察が必要になります。

図1 パワー・システム図2 各種シェーバー・メスとドリル
(写真1)パワー・システム
(写真2)各種シェーバー・
メスとドリル
図3 手術の実際
(写真3)手術の実際
図4 術前の左右の鼻腔所見
(写真4)術前の左右の鼻腔所見:両側に鼻茸(矢印)を認めます。
図5 術後2ヶ月の局所所見
(写真5)術後2ヶ月の局所所見:右側の中鼻道(左上図)、篩骨洞(右上図)は十分開放され、ほぼ治癒の状態にあります。右上顎洞(下図)の粘膜には、一部腫脹を認めます。