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耳の手術

(1)耳介血腫の手術

耳介血腫とは、耳介の前面にできる皮下や軟骨膜下の血腫をいいます。その多くは、柔道、相撲、レスリング、ラグビーなどのスポーツにより、耳介に打撲や摩擦などの刺激が反復して加わるために生じます。早期であれば、血腫を穿刺、吸引後に圧迫すればほぼ治りますが、再発した場合、切開し血腫の除去が必要になります。

図1 注射針による血腫の穿刺図2 耳介血腫の切開法

(2)耳周囲アテローマの手術

アテローマ(粉瘤)は皮膚の下にできる良性腫瘍で、耳介周囲に多発します。皮脂腺の排出管が閉鎖され、中に泥状のものが溜まります。大きくなったり、感染を繰り返す場合には摘出手術を行います。手術時間は約30分です。

図3 アテローマ

(3)滲出性中耳炎の手術(鼓膜チューブ挿入術)

滲出性中耳炎が長期化した場合、鼓室の換気を図るため、鼓膜チューブ挿入術を行います(図1)。

■手術の実際
1. 鼓膜に浸潤麻酔を行い、約15分後に鼓膜を切開します。。
2. 鼓室内の滲出液を細い吸引管で吸引、除去します。
3. チューブのツバ部分を鼓室内に挿入し、これを固定します。手術時間は約5分です。
4. 使用するチューブには短期間留置するのもと、長期間留置するものとがあります。

3 滲出性中耳炎の手術(鼓膜チューブ挿入術)
図1.矢印は換気チューブを示す。

(4)慢性中耳炎の手術(鼓膜形成術)

慢性中耳炎で穿孔が比較的小さく、耳小骨に異常がない場合には、日帰りの鼓膜形成術が可能です。この手術により約90%以上の確率で鼓膜を閉鎖できますが、まれに閉鎖不全を起こし追加治療が必要なこともあります。

(1)穿孔閉鎖のための準備:局所麻酔下で鼓膜閉鎖に用いる結合組織を採取します。当院では、耳後部に切開を加え、側頭部の筋膜や骨膜、あるいは耳介軟骨付き軟骨膜などを用いています。

(2)鼓膜、外耳道の麻酔:麻酔液を染み込ませた綿花を用いて、鼓膜から外耳道の浸潤麻酔を行います。

(3)穿孔辺縁の鼓膜切除:穿孔辺縁を全周性に鼓膜を切除します(図1)。

(4)穿孔の閉鎖:先に採取した軟部組織を穿孔部分に落ち込まないようにパッチを行います。手術に要する時間は約30~50分(閉鎖に用いる結合組織により時間が異なります。)です。

(5)閉鎖完成:写真5は術後3ヵ月の鼓膜所見です。この症例では耳介軟骨付き軟骨膜を用いて穿孔を閉鎖しました。矢印は耳介軟骨です。

図2 穿孔辺縁の鼓膜切除
図1.穿孔辺縁の鼓膜切除
図4 術後の鼓膜所見図5 術後の鼓膜所見
 写真4.術後の鼓膜所見:
矢印は側頭部の筋膜を示します。
写真5.術後の鼓膜所見:
矢印は耳介軟骨を示します。